かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2025.11.11

【受賞】授乳期・妊娠期の添加糖入り飲料の摂取が小児肥満を引き起こすメカニズムを半澤・金子研の院生が解析し、学会でトラベルアワードを受賞

授乳期・妊娠期の母親の栄養状態が、子の健康に関わることはご存じでしょうか。最近の研究では、妊娠期の母親が砂糖などの“添加糖 (added sugar)”を含む甘い飲み物を多量に摂取することは、子の肥満に繋がることが報告されました。しかし、その詳細なメカニズムはわかっておりません。

そこで、時間栄養学を研究している半澤・金子研究室の院生は、“妊娠期・授乳期の添加糖入り飲料の摂取は子の体内時計を乱すことで肥満を引き起こす”、という仮説を立て、これを実験動物を用いて調べました。妊娠期・授乳期の間、母マウスに添加糖入り飲料を摂取させたところ、その仔マウスは体重が大きく増えました。仔マウスの肝臓から遺伝子を取り出し、遺伝子の量を解析したところ、体内時計の目印となる遺伝子の1日のリズムに変化が認められました。さらに、身体の中で脂質を作る働きに関わる遺伝子の量が増えていました。これらの結果は、妊娠期・授乳期の母親における添加糖入り飲料の多量摂取が小児肥満を引き起こすメカニズムの解明に貢献する知見といえます。

この研究を、2025年9月5 (土) – 6日 (日) に東洋大学で行われた第12回日本時間栄養学会学術大会で発表したところ、大変優秀と賞され、トラベルアワードを受賞しました。

受賞した研究タイトル
「妊娠期・授乳期の添加糖入り飲料の摂取が仔の体内時計および脂質代謝に及ぼす影響」

時間栄養学とは
私たちの身体には、約24時間のリズムを刻む体内時計があります。体内時計は、光や食事のタイミングによって調節されています。そのため、これらのタイミングが乱れてしまうと、体内時計がずれてしまい、心身の健康に不調が生じます。例えば、朝食を抜いてしまうと、内臓の時計が後ろにずれることで身体に脂肪が蓄積しやすくなることがわかっています。このように、時間栄養学とは、体内時計の面から、食事を“いつ”摂るのが健康にとって良いのかを調べる学問分野です。

 

 

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