かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2024.03.27

リフィーディングシンドロームとは?試行錯誤を経て分かってきた研究の面白さ(伊藤・田中研究室・博士前期課程2年)

管理栄養士課程の様々な講義を通して見つけていった関心のある分野

幼少期は苦手な食べ物が多かったのですが、中学校で部活を始めたことをきっかけに、食べることに興味を持つようになり、大学では食に関わる勉強をしたいと考え、管理栄養士資格取得を目指すことができる兵庫県立大学環境人間学部の食環境栄養課程に入学しました。

学部では、食品の特徴を学ぶ講義や調理実習に加えて、人体や病態と栄養の関わり、健康や栄養に関する制度の講義、さらに実験・実習等、幅広い面から「食」について学ぶことができました。様々な講義を受ける中で、私は特に食べた後の生体内での代謝反応に関心を持ったため、代謝栄養について研究できる伊藤・田中研究室に所属しました。

迷いながらの大学院進学

4年次には卒業研究と並行して就職活動も進めていたのですが、「こういう仕事がしたい」という明確な目標を持っていたわけではなく、進路について悩んでいました。就職活動では、様々な業種や職種を回っていました。しかし面接を受けていくなかで、自分がどうしたいのかがより分からなくなっていました。学部時代の所属研究室の教員だった田中更沙先生に相談したところ、大学院進学により研究職や開発職等の選択肢が広がる可能性があることや、進路について改めて考えることができること等をお話しいただきました。

ちょうど、卒業研究を進めていくなかで、研究というものに少しずつ面白さを感じるようなっていた頃でした。先輩の卒業研究発表を聞いた際は、難しく自分にできるか不安でしたが、実際に論文を読んで1つずつ分からないことを調べていくうちに、テーマについて少しずつ理解できるようになっていました。さらに興味のあった「代謝」に関連した1つのテーマを深めていくことができるのは楽しかったです。食環境栄養課程の学生は4年生の3月に管理栄養士の国家試験を受けるため、卒業研究の締め切りが早いのですが、気づけば今取り組んでいる研究をもう少し進めたい、もっと深めたいと思うようになっていました。

先生からのお話や、卒業研究を始めたことで研究についてのイメージができるようになっていたことから大学院進学を選択肢の1つとして考えるようになりました。ただ就職活動も続けていて、進学を決めたのは院試の頃でした。この時、進路については改めて考え直そうと思っていました。

リフィーディングシンドローム(RFS)の解明を目指して

私が学部時代から大学院にかけて研究してきたテーマは、リフィーディングシンドローム(RFS)です。私自身、研究室に入るまでRFSについては知りませんでした。RFSは高齢者や、癌、術後等、様々な要因により慢性的な栄養不良状態が続いている患者さんが、急速に十分な量の栄養を摂取することで発症する一連の代謝合併症の総称です。不整脈や心停止等の致死的な合併症が引き起こされることもあり、予防や早急な対処が重要となります。

一方で発症メカニズムについてまだ不明な点も多くあることから、臨床現場においては、栄養投与を少量から開始し、少しずつ増やしていったり、血中のミネラル等をモニタリングして不足時に補給したりすることで発症を予防しているのが現状です。

そこで、私はより積極的な栄養療法の開発を目指し、発症前に着目し研究を行いました。方法としては、低栄養状態の動物(ラット)の血液を使って、全身の代謝状態を調べ、低栄養により不足した代謝物質を探索、それを動物に補うことでRFS発症を予防できるか実験を通して検討しました。

研究の結果、RFS発症関連候補物質を同定し、それらの効果について検討することができました。一方で、まだまだ分からないこともあり、それも研究の面白さであり難しさかなと思っています。

研究や学会発表などを通して様々なことについて学んだ大学院生活

研究を進めて行くにあたり、まずは論文を読み、過去に行われた実験、そしてその結果から分かっていることを調べ、整理します。次にそれらを参考に、実験方法(物質の投与量や時間等)やスケジュールを先生方と決めていき、実験を行いました。そして、解析を行い、結果から何が言えるのか、どういうメカニズムでそうなったのかを考えることを繰り返しました。

学部の実験では、使用する試薬や方法は実験書に記載されていましたが、研究では多くを考えていく必要があります。後から別の方法でした方が良かった思うこともあり、研究を組み立てていくことの難しさを感じました。また、結果が出た後も、特にそれが予想外だった際、どのようなメカニズムでそうなったのか考えることにも苦労しました。先生方とのディスカッションでは、知識や思考の浅さを感じさせられることも多かったです。しかし、先生方から別の考え方を教えていただいたときや、読んだ論文や過去のデータとの関連を見つけられたとき等は、点と点がつながったような面白さも感じました。

また大学院では、学会で発表する機会も頂きました。学会では、決められた時間の中で、自分の研究テーマについて知らない方にも分かっていただけるような発表をする必要があります。分かりやすく伝えるための構成やスライド作成について、先生方にたくさんご指導いただきました。発表後に他分野の先生方から質問していただいたり、先生方の発表をきいたりすることで、新たな考え方を知る機会にもなりとても勉強になりました。学内での研究はもちろんですが、学外に出て、様々な研究に触れるというのは貴重な経験でした。

今まで学んだことを活かして

修了後は、大学や大学院で学んだことを活かしながら、食を通した健康づくりに関わる仕事をしたいと考え、就職活動を進めました。結果的に、地方自治体の栄養士職職員として内定を頂き、病院や保健所等に配属される予定です。就職活動に関して、学部の時と比較し、研究内容や考えをより自分の言葉で話すことが出来たのではないかと感じます。大学院進学の有無に関わらず、考えや思いを持ち、それを分かりやすく伝えていくことが大切です。私の場合は、大学院生活を通して、研究はもちろん様々なことについて改めて考えられたのが良かったのかなと思います。

職場では大学院で行ったような実験はしないと思いますが、研究や学会発表等を通して大学院生活で学んだ、課題への向き合い方や人への伝え方を活かしながら、さらに勉強を続け、地域住民の方の健康づくりに貢献していきたいと考えております。

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