栄養について学ぶ中で出会った「栄養教諭」という仕事が自身の目標に(吉村美紀ゼミ)【兵庫県立御影高校出身】
ダンス、バレエを通して栄養に興味。栄養管理を学びたいと受験。
高校は進学校で、まじめな高校でした。行事に関しても、放課後残って練習し、みんなで作り上げようという意識が高かったです。2年生の文化祭では、舞台「名探偵コナン」を披露しました。私は、小学2年生からダンスとバレエを習っていたので、ダンスの振付を担当し、クラスみんなで踊ったことがいい思い出になっています。
高校1年生から志望校について進路指導があり、早い段階で大学を意識していました。子どもが好きだったことから教育系に進もうかと考えていました。環境人間学部を意識したのも、教育系について学べる人間形成系に興味を持ったのがきっかけでした。人間形成系について調べていたら、同じ環境人間学部に食環境栄養課程があることを知りました。
実は、私は栄養について学んでみたい思いがずっとありました。小さい頃からダンスとバレエを習い、体重管理や栄養管理に注意を払ってきたので、食品の栄養に関しての意識が高く、体調を保つためや筋肉をよりよく動かすための栄養管理について学んでみたいと思っていました。でも、栄養学科の大学の受験科目は理系科目であることが多く諦めていたところ、環境人間学部の食環境栄養課程なら高校で文系を選択していても受験できることが分かり、ここだと受験を決めました。
1年生では栄養の基礎、2年生では実践的な実験で学ぶ。
食環境栄養課程は、1学年40人と少人数なので、同じ志を持った仲間と深い交流が持てると楽しみにしていました。でも、1年生に入ってすぐコロナのため、オンライン授業となり、思い描いていた大学生活とは違っていました。そんな中、食環境栄養課程の先生方がオンライン交流会を開いてくださりました。これを通してみんなと話すことができるようになり、とてもありがたかったです。
1年生で「食品学Ⅰ」や「基礎栄養学」など栄養学の基礎を学び、2年生になるとより実践的な実験科目が増えました。「食品学実験Ⅰ」で、食品から栄養素を抽出するための試薬濃度の計算や化学式など少し苦手な分野のことでも、仲間と協力しながら進めて行きました。他にも、食環境栄養課程に所属されている先生方全ての講義を受けることができるので、公衆栄養学、臨床栄養学、栄養教育論、給食経営管理論など幅広く学ぶことができ、新しい知識が身についていくことを実感することができました。
伊藤美紀子先生の「臨床栄養学実習」で疾患に合わせた献立を作成、調理。
3年生で受けた伊藤美紀子先生の「臨床栄養学実習」では、班ごとに疾患に合わせた献立を作成、調理を行いました。私たちの班は、左大腿骨頸部骨折の骨粗しょう症患者に合わせた食事を考えました。まずは、疾患に合わせた栄養価を考え、先生から配布された一般食を変更していきます。カルシウムを増やすために炒め煮にゴマを加え、ビタミンD充足のためにポトフにぶなしめじを、揚げ魚にまいわしを使用するなどの工夫をしました。さらに、課題の条件としてトマト、ニンジンを偏食で使用しないことになっていたので、ニンジンを赤ピーマンやスイートコーンに。ミニトマトを黄色ピーマンに変えて調理を行いました。
一つの栄養だけに目を向けるのではなく、必要な栄養全体を考え、どの具材に変更するのか、出来上がりの量を見込んで具材の量を決めるなど考えることが多く難しかったです。伊藤先生からは、食欲は彩りと関わりが深く、具材の性質や料理後の変色にも気を配り対策が必要なことなど、患者がどう思うかを考えることの重要性をご指導いただきました。献立変更において注目すべきポイントを実践を通して学ぶことができ、今後の献立作成への自信につながったと思います。
吉村美紀ゼミで「カスタードクリームの物性と嗜好性」を研究。
3年以降の専門ゼミでは、体に直接影響を与える食品についてもっと知りたいという思いから、食品の物性が専門の吉村美紀ゼミに所属しました。吉村先生は、今ある食品の効用を高めることで、様々な人にさらに役立つものにする研究をされていて、私もそのような食品を作ってみたいと思いました。
私は、今、卒業研究のテーマである「ライスジュレ、大豆タンパク質を加えたカスタードクリームの物性と嗜好性」を研究しています。これは、卒業された先輩の研究を引き継いだもので、小麦の代わりにグルテンフリーのライスジュレを使ってカスタードクリームを作り、そのために減少したタンパク質を補うため大豆たんぱくをプラスし、その物性と嗜好性を研究するものです。まず、電子レンジでカスタードクリームを固めるのですが、クリームを入れる容器の深さによって硬さが変わってしまい、最適な容器を見つけるのに苦労しました。栄養価、色彩、かたさ、におい、味において、小麦を使ったカスタードクリームと変わらないものを目指し研究した結果、おいしく香りのいいものを作り上げることができ満足しています。将来的には、グルテンフリーのシューと組み合わせて、小麦アレルギーの人でも食べることができるシュークリームができたらいいなと思います。
3年の授業を通して栄養教諭の仕事にやりがいを感じ、目指す。
3年生前期に受けた「学校栄養教育の理論と方法」の授業で、栄養教諭として働かれている卒業生の方のお話を聞く機会がありました。給食の豆知識を掲示したり、農業体験で収穫したものを給食に使ったりするなどして、子供たちの食育に携わっていらっしゃる様子や、子供たちの「お母さんに教える」「給食おいしかった」といった声にやりがいを感じるというお話を聞き、栄養教諭という仕事に興味を持ちました。さらに、3年生の夏休みには、授業「給食の運営」の実習で小学校に赴き、給食を完食できないクラスが多くあるのを見て、どうしたらたくさん給食を食べてくれるようになるのか、子供たちの成長の役に立ちたいと栄養教諭への思いがさらに深まりました。
3年生の12月頃、栄養教諭の試験に合格した先輩から、試験や面接、模擬授業のポイントなどをアドバイスしていただき、受験する県の面接対策や傾向を探り勉強を本格的に始めました。
栄養教諭採用試験、面接を受け、結果を待つだけだった4年生の9月に1週間、小学校に教育実習に行きました。2年生のクラスに入らせてもらい、食育の授業をしました。「朝ごはんを食べよう」という内容の絵本を使って授業を行いました。生徒みんなが積極的に授業に参加してくれ、普段おとなしい子が発表してくれたのが嬉しかったです。先生方からは「絵本を読みすすめる中で子供たちに質問した方がいいのでは」「ペープサートを使った方が良かった」という意見をいただきました。子どもを楽しませながら学ばせる工夫の大切さを実感しました。
教育実習も終わり、絶対、栄養教諭になりたいと思っていたところに、滋賀県教育委員会から採用をいただくことができました。本当にうれしかったです。
大学、就職ともに「自分に合う」ことが大切。
大学にしても就職にしても、自分に合うところを探すことが大切だと思います。大学を一度、訪れることをお勧めします。私も受験前に環境人間キャンパスを訪れ、落ち着いた感じに魅力を感じました。
環境人間学部は、少人数の授業で、先生との距離が近く質問がしやすい。友達もできやすく深い交流関係を築くことができます。そのままの自分を出すことができ、自分の考えや、やりたいことを発揮できる環境だったと思います。
私は食環境栄養課程で学びましたが、ただ食のことだけでなく、SDGsなど環境のこと、環境の良い食について考えることができました。また、他の系の人たちと授業やサークルで関わり、「公務員試験にむけて勉強してる」「建築の課題が大変」などそれぞれやりたいことに向かって頑張っている姿を見て刺激を受け、また、私自身の頑張っていることに「すごい!」と言ってもらって勇気づけられました。自分らしさを出すことの楽しさや、他の人の意見を聞いてより良いものを作りだすことの大切さを忘れず、活かしていきたいと思います。