かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2024.03.13

運動によるカロリー消費、ボールとバット間の衝撃力、バランス能力の要因。様々な運動の研究を通して視野を広げる。(野村健ゼミ)【西宮市立西宮東高校出身】

文系に進んだけれど、理系科目が得意だった私だから。

自主性を重んじる高校で、課題も少なかった印象です。だからこそ、何事に関しても自分次第で、私は進路について真剣に考えだしたのは2年生の終わりです。今考えるとのんびりしていたと思います。それまでは、硬式テニス部で活躍していました。部員数60人ほどいる中、未経験者で団体戦メンバー6人に選ばれるまで努力しました。

3年生の夏ごろ、環境人間学部のホームページを見つけ、スポーツ、心理学、経済学、建築学など幅広い分野が学べる学部で、面白いなと思いました。まだ、自分のやりたいことがはっきり分からなかったので、入学してからいろいろなことを学ぶことで選択肢を広げて選んでいけることに魅力を感じました。それに、高校の時に文系に進んではいたものの、理系科目の方が得意だった私には、文理融合学科の環境人間学部ならどちらの知識も活かすことができるのではないかと考え受験を決めました。

運動がもたらす健康効果を学びたいと人間形成系へ。

1年生で受けた「人間学(心身)」では、人間形成系の様々な先生の授業を受けることができました。人間形成系とひとくくりにはなっていますが、教育や心理学などその分野の幅は広く、中でも私は小学校からソフトボールや野球に親しみ、体を動かすことが好きだったこともあり、スポーツ系の授業に興味を持ちました。スポーツを学問として捉えるのは初めてで、動作を数値化して分析すること、また、筋力を高め脂肪をより燃焼させる効率よいトレーニング方法を学ぶことはとても興味深く、身近にも感じました。

2年生ではその知識を糧に、運動がもたらす健康効果などを専門的な機械を使って実験や分析をしてみたいと考え、人間形成系に進むことにしました。

他系の授業も積極的に受講。多様な知識を得るチャンス。

2年生では人間形成系の先生が担当されている科目を中心に受講し、知識を深めました。3年生になり取得単位に余裕ができてからは、他系の科目でも興味のある授業は積極的に受けました。これは、環境人間学部だからこそできることで、自分の知識の幅を広げるのにとても役に立ったと思います。中でも、中嶌一憲先生の「環境資源経済学」では、富士山を「お金」というものさしで評価するといった内容で、今まで自分になかった視点の研究で驚きを感じました。他に食環境栄養課程の先生方による「栄養と健康」の授業では、食事に関する大切なことを教わりました。生きていく上で必要な知識ばかりで、自分のためになったと思います。野菜を先に食べることで血糖値があがりにくくなる「ベジファースト」は、学んでからずっと実践しています。

森先生の「運動環境生理学演習」で運動によるカロリー消費を研究。環境人間学フォーラムで「聴衆賞」受賞。

人間形成系の森寿仁先生の「運動環境生理学演習」で「環境の違いによって消費カロリーは変わるのか」という研究を受講生5人で行いました。温度や湿度がコントロールできる人工気候室で姫路市の平均気温、湿度を夏、秋、冬に環境設定した中、ランニングマシーンでランニングを行います。吸う酸素、吐く二酸化炭素の量を測ることで消費カロリーを測定しました。受講生それぞれ測定した結果、環境による違いはないと結論がでました。

その研究内容を毎年、学部内で開催されているプレゼンイベント「環境人間学フォーラム」で発表。森先生にはパワーポイントを使ったまとめ方や発表の仕方など細かいところまでご指導いただき、当日、聞いた人が一番良かった発表に投票する「聴衆賞」を受賞することができました。スポーツという身近な題材であったことや、7分間の発表において、ゆっくり分かりやすい言葉を使うことを意識したのがよかったのではないかと思います。

野村ゼミで「バランス能力に影響を及ぼす要因について」を研究

3年生からは、運動生理学が専門の野村健先生のゼミに所属しました。ゼミに入ってすぐに共同で研究したいことをゼミ生3人で考えました。ゼミ生と野村先生ともに野球経験者だったことから、野球に関することを研究しようということになり、バットとボールの衝撃力について研究することにしました。企業の協力を得て、1秒間に5万コマ撮影できる高性能ハイスピードカメラで、バットとソフトボール、軟式ボール、硬式ボールそれぞれの接触する瞬間を撮影。各ボールとバットの接触時間を測ることで、衝撃力を計算しました。ソフトボールや軟式ボールのようなゴム系のボールはバットにのめり込むように変形し、接触時間も長いという結果がでました。

その研究の後は、ゼミ生それぞれ、自分たちが疑問に思うこと、調べたいことについて書かれた論文を探しゼミ内で発表、ディスカッションを重ね、卒業研究のテーマを決めていきました。

私は卒業研究として「バランス能力に影響を及ぼす要因について」の研究を行っています。きっかけは、重心動揺計でバランス能力を測り自分のバランス能力の低さを知ったことでした。研究は、男女8人ずつの被験者を対象に、静的バランスと動的バランスを測定することから始めました。静的バランスは重心動揺計で測り、動的バランスは立った状態から身体を傾かせ、もとの状態に戻せる重心の移動距離を見て測定しました。次いで、バランスの良し悪しの要因を探るため、研究室の測定器具を使って、足趾把持力(足趾を曲げて物をつかむ力)や足の皮膚のかたさ、足の感度を測定し比較、分析を行いました。その結果、足の感度、筋力がバランス能力に関係していることがわかりました。今は、野村先生から分かりやすい図表のつくり方などのアドバイスをいただきながら論文としてまとめる作業を行っています。

バランス能力は転倒と深く結びついています。バランス能力の向上が転倒予防につながり、高齢者にとって健康寿命をのばすきっかけの一つになればと考えています。

大手保険会社から内定。健康面から企業をサポートしたい。

就職活動は3年生の冬ごろから始めました。もともと経済的なことに興味、関心があったので、銀行や生命保険会社など金融業界を中心に就職活動を行う中で、大同生命保険株式会社の「保険を通して企業をサポートする」というビジネスモデルにピンときました。私は、塾講師やスイミングスクールのアルバイトの経験から人をサポートすることが好きだし、向いていると思っていました。それに、私の研究してきたことが健康面から企業を支える力になるのではと思い志望し、ありがたいことに内定をいただくことができました。今後は、健康増進を促すようなイベントなどにも携われたらいいなと思っています。

大学選びは、幅広い視野をもって選ぶことをお勧めします。オープンキャンパスに参加したりキャンパスガイドや大学ホームページを見たりして、自分に合うところを見つけることが大切です。

大学に入れば、興味のあるもの、好きなことに打ちこめる時間がたくさんあります。私も野球観戦や旅行、アルバイトを通して多くの経験を得ることができました。いろいろな経験が次のステップへとつなげてくれると思います。

 

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