【ゼミプロジェクト】小学校で子どもの心を育むミソドラマ(神話的なお話)というグループワークを実践(井上ゼミ/臨床心理学)
子どもたちの「心の育み」という課題
コロナ禍によって人と人とのかかわりが減少していますが、このような状況は子どもの発達において極めて深刻な問題といえます。その中でいかに愛着形成や人と人の絆を育んでいくかが課題となっています。
人間形成系の井上靖子ゼミ(臨床心理学)では、この課題の解決の一つとしてミソドラマという手法に着目し、その方法や意義について研究しています。2022年度、井上ゼミは姫路市家島小学校においてミソドラマを実践し、12月に報告を行いました。
ミソドラマとは、心理療法家のアラン・グッゲンビュールが考案したカウンセリング手法で、物語を途中まで参加者に読み聞かせ、結末を自由に考えてもらい、それを劇にして演じるグループ・アプローチです。
井上ゼミの学生は井上教授の指導のもと、この手法について学び、それを家島小学校で実践しました。対象は5~6年生の児童たち15名。素材としたのは家島で有名な昔話の「どんがめっさん」。
ゼミ生は事前の調査として家島を見学し、「どんがめっさん」についても理解を深めました。そして、子どもたちがスムーズに取り組んでもらうためのプログラムを考え、イメージを膨らませてもらうためにペープサートという登場人物の作り物も作成しました。
ミソドラマの実践
7月15日の当日、緊張をほぐすためのアイスブレイクの後、「どんがめっさん」を途中まで語り聞かせた後、その後の物語の展開をグループ毎に自由に考えてもらい、絵を描いてもらいました。さらにその即興劇を演じてもらい、最後にお互いに気付いたことを話し合いました。
井上ゼミの学生たちは実践するだけでなく、子どもたちの感想から分析を行い、家島の子どもたちが抱える課題を抽出したり、ミソドラマという手法の具体的な実践方法について検討したりしました。
12月9日にはその分析結果を家島小学校で報告しました。小学校の先生方はミソドラマと言う手法が、学校教育で一般的に行われている手法よりも、子どもたちの自己表現を促した点に驚いたようで、この手法の可能性について活発な議論が行われました。
環境人間学フォーラム2022での発表
小学校への報告に先立つ11月10日、環境人間学部のプレゼンイベント「環境人間学フォーラム」でもこの取り組みを発表しました。このイベントは、学生によるプレゼンを動画で収録し、それを学内で共有する形で実施しています。そのときの動画を紹介します。