かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2024.10.25

【受賞】太田ゼミ(都市計画)の学部4年生、3年生が公共空間の利活用に関する研究で学会支部賞

近年、注目を集めている都市の公共空間利活用。実際に兵庫県内でも人を中心とした広場や歩行者空間のリデザインがみられます。ポイントになるのは、環境・経済・社会からみた仕組みと実践の持続可能性。誰のために、何のために、そしてどのように都市空間をより良く再整備するのか。具体的な事例調査と共に、学術研究として必要な文献調査やフィールドワーク、データ分析を丹念に行い、学会発表(口頭発表)した社会デザイン系太田ゼミの学生が学会賞を受賞しました。

発表したのは、日本造園学会、2024年度関西支部大会。日本造園学会は造園だけでなく、公園や都市空間、自然地、景観、ランドスケープなど、緑に関わる幅広い分野を扱う学会です。その関西支部では、若手研究者による参加者相互の議論の活性化に寄与した発表を「関西支部賞」として表彰しています。

受賞の対象となった研究タイトルは以下の2件です。

ナイトタイムエコノミーの観点からみる都市公園の活用可能性とパークマネジメント~神戸市東遊園地と横浜市山下公園を対象に~

ナイトタイムエコノミー(夜18:00~翌朝6:00の間に発生する経済)の拠点となる場として、まちなかの都市公園が相応しいという位置づけのもと、神戸市の東遊園地と横浜市の山下公園で調査を実施。一般的に夜の公園は危険とされていましたが、最近のまちなかの公園は夜も盛り上がっています。例えば神戸の東遊園地では、「NIGHT PICNIC」というイベントを実施しています。近年Park-PFIの制度を使って、民間事業者が都市公園の中で収益を得つつ公園のマネジメントを行う事例が増えています。また、ナイトタイムエコノミーについても、インバウンド需要の高まりや都市の多様性等の観点から自治体が事業や計画を実施しています。

本研究ではPark-PFIによって公園のマネジメントがされ、かつ自治体からナイトタイムエコノミーへの参加が期待されている都市公園を対象にしています。対象地とした神戸市の東遊園地と横浜市の山下公園は、共ににぎやかな夜を有する環境ではないですが、どうやって地元の夜が元気になるかをそれぞれの都市の文脈で実施しています。調査結果からは、エリア全体での夜間の賑わい創出のために様々な創意工夫がされていますが、公園だけで夜間の集客力を持たせることは現実的ではなく、公園の公共性と拠点性を組み合わせることが必要であることがわかりました。

 

わが国におけるパークレットの設置概況と運営実態に関する調査~効果的で持続的なパークレット設置に必要な諸条件の一考察~

「パークレット」はサンフランシスコ発祥の歩行者のための空間のことです。公園(Park)と小さい(—let)という語から成り、道路空間に人が憩えるような仮設構造物のです。パークレットを整備することで道路空間に新たな賑わいや滞留空間を創出し、まちの魅力向上に寄与すると考えられています。日本では、車社会から人中心社会へと移り変わり、道路空間を利活用するニーズが高まっています。そのため近年では日本でも全国的にパークレットと設置が広まっており、今後、道路空間利活用の手法として発展が期待されています。

この研究では全国のパークレット整備状況について6つの観点(常設・社会実験、設置空間、設置期間、設置場所、設置主体、デザイン性)から表にまとめ、パークレット整備の現状を明らかにしました。さらに先進的にパークレット整備を行っている神戸市と大阪市を対象にし、現地でのヒアリング調査や国交省作成の居心地の良さを測る指標を用いてパークレットの居心地の良さについて可視化しました。またGIS(地理情報システム)を用いた周辺の建物用途とパークレットの関係性について分析しました。調査の結果から今後のパークレット整備において効果的で持続可能なものにしていくために必要な諸条件(都心や地方拠点都市などの中心地、沿道の店舗や企業の協力の必要性、行政と地域との連携強化)を明らかにしました。

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