地元大好きな私が恩返しをする話。地域における女性活躍の研究を通して

田舎大好き
田舎暮らしが好き。生まれ育った地域、宍粟市に住み続けたい。自然・温かい人々・近所のおじちゃんおばちゃん。そのすべてが私の宝物。
私は田舎生まれ田舎育ち田舎が大好きな若者です。幼い頃から自然の中を駆け回り、たくさんの温かい方々に囲まれて育ってきました。そのため、小学生の頃から私の将来の夢は「生まれ育った地域に恩返しをすること」でした。中学生の頃、姉の影響で本学部のことを知り、この学部で「田舎に役立つことについて学びたい」と思い、兵庫県立大学附属高校に入学しました。しかし、入学してから「大学では田舎に役立つことを学びたい」という、とても漠然とした考えしか持たず、のうのうと高校生活を送っていました。

宍粟の風景
農村計画研究室との出会い
高校三年の夏、本学部のオープンキャンパスに参加しました。その際に、後に所属することになる三宅康成教授の農村計画研究室(三宅ゼミ)を知り、ゼミ活動で行われているフィールドワークや自然学校に興味を持ち、「私の学びたいこと、やりたいことはここでできるのではないか」と考えるようになりました。
環境人間学部に入学して、三宅先生の授業をはじめて受けた時、私はすぐに話をしに行きました。そして「先生のゼミに入るためにはどうしたらいいですか」と質問し、学部1年生の頃からゼミ訪問や先輩のフィールドワークに参加させていただきました。大学生になり、自分の車を持ち、さまざまな地域へフィールドワークに行く中で、地域の人と関わる楽しさ、同年代の方と一緒に考えることの楽しさ、何事にも挑戦することの大切さを知ることができました。そして、大学生の間の目標として、「いろいろな地域に出てつながりを増やす」を掲げ、どんなフィールドワークにも積極的に参加していきました。

フィールドワークの様子
障壁「新型コロナウイルス感染症」
しかし、学部1年生の終わり、新型コロナウイルス感染症が流行しはじめました。農村地域へのフィールドワークは、感染症対策の面から長期間の自粛が求められ、実際の活動が再開されたのは三宅ゼミへの配属後の学部3年生の夏でした。その後も、学部生の間は何度も新型コロナウイルスの再流行により、地域での活動が難しくなることが続きました。
また、3年生からは就職活動も始まり、私は小さい頃からの夢を叶えるべく、地元宍粟市の市役所への就職を希望していました。しかし、就職の準備で自己分析を行う中、大学生の間の目標が未達成だということに気がつきました。加えて、3年生の終わりに兵庫県からの受託研究に関わりを持ち、データの分析や何か一つのことを追求することの面白さを知りました。
そこで、学部4年生の春、三宅教授に「大学院に行ってみたら?」と提案していただき、その3日後には、これまで考えたこともなかった“大学院進学”を決断していました。
女性活躍の研究
大学院では、学部の頃から研究していた農村地域の集落内にある自治組織の持続可能性に関して、女性の役割に着目しながら研究を行いました。学部の頃に1つの農村集落を対象にアンケート調査を行い、地域住民が集落内の組織に対してどのような意識や意向を持っているのかを明らかにしました。それをもとに、大学院では“女性”というキーワードに着目し、従来の組織に女性役員が登用された場合、どのような効果やメリットがあるのか、またこれまで女性役員登用が進まなかった原因は何かということを明らかにしました。
このテーマは、地元の友人と話をしているときに、「私のお母さんが自治会長を女性2人でしていいんやったら私たちでもできる!って言ったら、これまでの役員の人に2人でするもんじゃない。って反対されたんや。」と言われ、「やってくれる人がいるのになんでダメなんやろ」と疑問に思ったことが始まりでした。
この疑問を三宅教授に相談したところ、研究テーマとして面白いのではないかと言われ、このテーマで研究することに決めました。実際に兵庫県内では、行政が女性自治会長を促す制度を作っていたり、地域の自治会長総会では男女共同参画に関する講演会を開催したりなど、地域の組織において女性活躍に関心が向けられていることが分かりました。私自身も兵庫県内で行われている男女共同参画に関する講演会やそのあとの交流会にも参加し、多くの専門家の方や、「女性活躍」・「男女共同参画」のテーマに関心のある方々と意見交換を行いながら、自身の研究を進めていきました。

小さい頃の夢を叶える
私は大学院修了後、もともと学部卒業後に就職を希望していた宍粟市役所に入庁することが決まりました。大学院では研究以外の場面で、地元宍粟市のまちおこしのプログラムに参加したり、実際に地域の若者でイベントを開催したりするなど、学外の活動でも学生の間の目標を達成していくことができました。大学院の二年間は、学内外で本当に多くの活動をさせていただき、さまざまな方との繋がりができ、私自身とても成長したように感じます。幼い頃から夢としてきた「生まれ育った地域に恩返しをすること」を市役所職員として、また仕事外での活動を通して、何事にも挑戦する心を忘れず、これからも叶えていこうと思います。
