かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2024.04.18

兵庫県庁病院局勤務(2018年卒)/公務員の今も生かされる、準備に手を抜かないという学び。

県民の命を守る「最後の砦」となる、県立病院に関する業務を担当しています。

大学卒業後、兵庫県庁に勤務しています。県庁にはさまざまな部署がありますが、現在は、病院局企画課という部署で勤務しています。「病院局」では、県内にある14の県立病院に関わる、総合調整的な業務、県立病院の組織・人事に関する業務、病院経営に関する業務等を担っています。

県立病院は、県民の命を守る「最後の砦」として、高度専門・特殊医療を中心とした政策医療の提供や地域医療の確保に取り組んでおり、ここ数年は新型コロナウイルス感染症患者の対応にも尽力してきました。間接的ではありますが、「県民の命を守る」という大きな使命を持つ県立病院を支える仕事ができ、非常にやりがいを感じています。

ちなみに病院局に配属になる以前は、女性活躍推進・男女共同参画に関する施策を所管する男女家庭課(現:男女青少年課)と県税の課税・徴収に関する業務を行う県税事務所で勤務していました。県庁では、約3年ごとに部署の異動があり、全く違う分野の仕事を経験していくこともあります。異動の度に転職しているようで大変なことも多いのですが、毎回新しい学びがあり、いろいろな経験を積むことができます。

将来に活かせる学びを求めて、防災心理学のゼミに所属。

高校生の頃から「地元を離れず、長く続けることができる仕事に就きたい」という思いがあり、将来は公務員になるのがいいかなと漠然と考えていました。志望大学を決めるにあたっては、公務員になるためというよりは、もともと関心があった心理学が学べる国公立大学に絞り、最終的に兵庫県立大学の環境人間学部に入学しました。

ゼミは、防災心理学・防災教育学を研究されている木村玲欧先生のゼミに所属していました。近年、日本では自然災害が多発していることもあり、一人の人間として役立つ学びだと思ったのと同時に、非常時に人はどのような心理になり、どのような行動をとるのかを知ることは、将来、公務員になった時にも必ず生かせると思ったからです。

毎週のゼミでは、4年生は自身の卒業論文に関する発表をし、3年生は防災や心理学に関する本を読み、週替わりで自分の担当する章を要約して発表していました。発表後には質疑応答の時間がありますが、長い時では1時間を超えることもありました。質疑応答の時間がしっかりととられるので、発表者側は、ただ単に自分が説明したい内容をまとめるだけでなく、どんな質問が出そうか事前にシミュレーションしておく必要がありますし、質問者側も発表内容をよく聞いて理解し、一人ひとりが自分なりの疑問を見つけて積極的に質問をする必要があります。このような時間を毎週のように繰り返したことで、物事を深く見つめる力や、物事への客観的な視点が身についたと実感しています。

「災害時に広がる流言(デマ)」をテーマに卒業論文を執筆。

木村先生のゼミは、毎週のゼミ時間以外の活動も充実していました。木村先生が担当されている高校生や大学1年生の授業で、ゼミ生がグループワークのファシリテーターをしたり、兵庫県佐用町の小学生への防災(水害)教育へ参加したり、神戸市で行われた自主防災組織向け研修会の運営に携わったりと、さまざまな経験を積むことができました。

卒業論文では『災害時に広がる流言(デマ)やフェイクニュースの実態』をテーマに取り上げ、過去に起きた災害時に発生した流言の事例をまとめ、地震、水害、噴火など、天災の種類ごとに発生しやすい流言についてまとめました。

SNSが日常的に使われている今は、普段の生活でもさまざまな噂に触れやすい環境にありますが、これが非常時になると、「どんな些細な情報でも受け取りたい」「何かにすがりたい」という人間の心理も影響し、ますます噂が伝播しやすい状況に陥ります。災害時の人間はそういった心理状況に陥るということを理解した上で、非常時だからこそ「そのニュースはどこから発信されたものか」「それは信じられる機関なのか」を確認する、冷静な思考やリテラシー能力が求められるという考察で結びました。

ゼミで身についた、準備に手を抜かない習慣。

木村先生のゼミは、良い意味で緊張感があり、毎週のように行われた発表や質疑応答、フィールドワークの前には常にしっかり準備を整えて当日に備えました。私は元来、人前で話すのは苦手で、何をする時にも心配性なところがありますが、木村先生のゼミを通して身についた「準備に手を抜かない」という習慣は、どのようなジャンルでも業務を円滑に進める上で大いに役立つものです。私自身、事前に細かく調べる、他者に対してわかりやすく、端的に話す力が鍛えられたと思っています。人前で発表すること、質問に対してわかりやすく答えたり説明したりすること、教室を出ていろんな人と関わったこと、すべての学びが今の仕事に生かされています。

大好きな地元、兵庫県の人々の役に立ちたい。

公務員の職務は「人のために、地域のために」が大前提。県民の皆さんからは見えないところの仕事を行い、安全な暮らしを支えることが私たち公務員の役目です。地元兵庫県が好きで、地元の方々の役に立ちたいと思っていた私は、念願だった公務員になることができ、どの分野に配属されても非常に大きなやりがいを感じます。

これからの目標は、「あなたがいてくれると助かる!」と思ってもらえる人になることです。(次にこんな指示が来そうだな)と、次の工程を予測して行動するだけでなく、私の小さな変化を察して「手伝おうか? 大丈夫?」と声をかけてくれた上司や先輩のように、私自身もアンテナをはって、周りのことを見られる人になり、よい仕事を通じて、県民の皆さんのお役にたてればと思っています。

いろんな出会いを楽しみながら、納得できる道を見つけて欲しい。

さきほど、大学進学の際は心理学を学びたいと思って入学したとお話ししましたが、私自身、心理学でとくに学びたいテーマがあったわけではなかったので、(こんなに感じで大学を選んでもいいのかな……)と少し不安がありました。しかし、兵庫県立大学環境人間学部は、学びの土台を幅広く身につけながら、自分の学びたい分野を探す時間があり、学び深めていきたいコースは2年次から選べることに安心感を抱きました。
また、就職先についても、ゼミ活動や学生団体での活動、アルバイトなど、大学時代のさまざまな場面での経験やたくさんの人との出会いを経て、最終的に第一志望の兵庫県職員を選択することができました。

入学する前に学びたいことや進みたい道を決めなくても、環境人間学部には入学してから1年間、自分のこれからを迷ったり選んだりできる期間があります。その間に、友人や先輩、先生との出会いを楽しみながら、自分の納得のいく方に進んでいってほしいと願っています。

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