かんなび 学びいろいろ、環境人間学部のみちしるべ。

2026.03.11

大学で見つけた栄養教諭という夢(大学院・永井成美研究室)

食べることが好きで,食に関わることを学びたい。そのような漠然とした「好き」という気持ちから,私は兵庫県立大学食環境栄養課程へ進学しました。そして,大学での学びと出会いを通して,私は,自分が本当にやりたいことを見つけることができました。

大学院進学を決めるまで

大学生活は,新型コロナウイルスの流行の中で始まりました。入学直後からオンライン授業が中心となり,思い描いていた大学生活とは大きく異なるスタートでしたが,2年生からは徐々に対面授業が再開され,講義やアルバイト,友人との時間など,ようやく大学生らしい日々を送ることができるようになりました。しかしその一方で,「自分は将来,何をしたいのか」という問いに対する答えは,なかなか見つけられずにいました。

そして迎えた4年生の研究室配属で,私が選んだのは,「時間栄養学」という分野の研究室でした。時間栄養学とは,約24時間の周期で,身体の様々な働きを制御している体内時計のシステムを最適に維持するために「時間やタイミングを考慮した食事」の取り方を探求する学問分野です。その研究室で,私は初めて,大学院への進学という進路を意識しました。

理由は,純粋に「研究が楽しい」と感じたことです。4年生時は,動物を用いた時間栄養学と母子栄養を組み合わせたテーマで研究に取り組んでおり,わからないことを明らかにしていく過程に,これまでにない面白さややりがいを感じました。また,将来へのビジョンがまだ明確ではなかったため,大学院での学びを通して自分の将来の可能性を広げたいという思いもあり,進学を決意しました。

進学が決まってから2か月後の10月に,1週間の教育実習がありました。小学1年生のクラスで実習をさせていただく中で,子どもたちのスポンジのような知識の吸収力や,食に対する強い興味・関心に何度も驚かされました。この1週間が,「私は栄養教諭になるためにこの大学に来たのだ」と心から思えるような運命的な経験となったのです。

実習は1週間という短い期間でしたが,1年後にご縁があり,実習で出会った子どもたちと再会する機会がありました。その際,私が行った食育の内容だけでなく,最終日に渡したメッセージカードのことまで覚えてくれていたと知り,驚きと同時に胸がいっぱいになるほどうれしく感じました。

言葉にするのは難しいのですが,子どもたちの成長を間近で見守ることができる学校現場で働くことの魅力を,この実習を通して強く感じました。この経験が,栄養教諭として子どもたちの成長を支えたいという思いを確かなものとし,私が本気で栄養教諭を目指す大きなきっかけとなりました。

少し特殊な事情なのですが,大学院の入学試験合格後,健康上の理由から,動物実験を続けることができないとわかり,私は研究室を移ることになりました。そこで私は,改めて研究テーマと向き合い,時間栄養学というテーマを持ったまま研究を続けることができ,さらに栄養教諭として働くという夢に最も近い研究ができる永井先生の研究室に移籍を決めました。

大学院での研究テーマと学生生活

ヒトが,約24時間周期の体内時計という生理機構を持っていることは先ほどお示ししましたが,その体内時計が外界の明暗環境と同調するための重要な因子として,「朝の光」と「朝食」が報告されています。しかし,電子デバイスの普及や低年齢化により,子どもたちにおいても,朝の光と同じ短波長光(ブルーライト)への夜間暴露される機会が増大することによる,睡眠等への悪影響が懸念されています。このことにより,規則正しい生活リズムを確立することを目指した食育を,特に心身の発育や発達が目覚ましい児童へ向けて実施する必要性は高いと考えられます。

そこで,私は,小学校の教員を対象とし,時間栄養学や体内時計に関する食育の実態調査を行うとともに,小学4年生の児童を対象として,体内時計を整える要素を取り入れた食育を実施しました。食育の結果,児童の生活習慣の一部に改善がみられ,実施した食育授業が生活習慣改善の一助となる可能性を示すことができました。この研究成果は現在,学術雑誌へ投稿中であり,研究を通して得られた知見は,学校現場での食育へと還元したいと考えています。

指導教員の永井先生は,学生がやりたい,頑張りたいと言ったことにはとことん向き合い,指導して下さる先生です。私は,大学院での研究成果を形にしたいという思いが強く,研究室配属当初から,研究成果の学術雑誌への投稿を目指していました。しかし,目標を見据えた研究の中でも,思うようには進まないことも多く,心が折れそうになることもありました。しかし,先生には何度もディスカッションの時間を設けていただき,励ましていただきながら,完成させることができました。4年生の卒論指導等もある中,年末年始にも何度も添削を重ねていただき,先生には心より感謝するとともに,自分自身においても成長できたと感じています。また,研究室に在籍されている博士後期課程の院生の方からの励ましの言葉や,アドバイスを頂きながらの論文執筆であり,院生の方々の存在にも何度も救われた2年間でした。

また,永井研究室はメリハリのある研究室です。春には姫路城の桜の下でお花見をしたり,クリスマスパーティーや誕生日会などの行事も大切にしています。研究に真剣に取り組む一方で,仲間と過ごす時間も大切にする「やるときはやる,楽しむときは楽しむ」という姿勢が,研究室全体の活力となっています。このような環境の中で日々研究に向き合うことで,研究への意欲を高く保ち,より充実した研究生活を送ることができたと感じています。

栄養教諭として働くことを目指して

私は,兵庫県で栄養教諭として働くことを目標に,就職活動は教員採用試験一本に絞って取り組んできました。兵庫県の教員採用試験では,集団面接と筆記試験に合格すると,個人面接や模擬授業へと進むことができます。

私は特に面接に対する苦手意識が強く,学内の教職教育センターを頻繁に利用しながら,試験の約1年前から,同じ教員採用試験合格を目指す仲間とともに,繰り返し練習を重ねてきました。振り返ると,集団面接は10回以上,個人面接は30回以上練習したと思います。

周囲の友人が次々と内定を得ていく中で,一人で努力を続けることに精神的なつらさを感じる時期もありました。しかし,同じ教員を目指す仲間の存在や,私たちの合格のために本気で指導してくださったセンターの西川先生の存在が,私にとって大きな支えであり,努力を続けるうえでの強い励みとなりました。

残念ながら,採用試験への合格はかなわなかったのですが,大学院修了後は,臨時講師として採用していただきました自治体で,子どもたちと関わりながら正規職員を目指して勉強していく予定です。ようやく見つけることができた「栄養教諭として働く」という夢をかなえるため,採用試験合格まで絶対にあきらめず,努力し続けていきます。

大学院という場所は,自分の好きなこと,やりたいことをとことん突き詰めることができる場所です。私は,大学で研究と出会い,そして栄養教諭という夢を見つけることができました。高校生の時の進路相談で,「やりたいことが見つからない」と泣いていた当時の私には,きっと想像もしていなかった未来だと思います。大学院での経験は,私の人生にとってかけがえのない財産であり,これからの人生の原点でもあります。学び続ける姿勢を大切にしながら,これからも,自分の夢に向かって歩み続けていきます。

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