奥 勇一郎 (動画有)(OKU,Yuichiro)
専門分野・研究テーマ
専門は大気科学(気象学・気候学)です。地球温暖化をはじめとする気候変化が避けられない状況と言われています。温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を抑える緩和策だけでなく、すでに起こりつつある温暖化への影響に対し災害や社会のあり方を調整する適応策の導入が検討されています。台風をはじめとする暴風雨などの激しい気象から日々の暮らしにおける穏やかな気象まで、様々な現象のメカニズムを解き明かし、その将来予測と私たちの生活への影響について調べています。
学生・高校生へのメッセージ
異常気象、気候変動、地球温暖化、ヒートアイランド現象、台風、線状降水帯、どれも聞いたことのある言葉だと思います。いずれも社会や暮らしと密接に関わっている大気現象である一方で、これらを正しく理解し適切に説明できる人は意外と少ないかもしれません。物事がぼんやりしていてよくわからない様を「雲をつかむような話」とたとえますが、気象学・気候学では気象観測や数値シミュレーションにより「雲をつかむ」ことから始まります。雲と一緒に皆さんの夢もつかんでみませんか?
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□専門ゼミ・卒業研究の進め方
研究室のセミナーにおいて持ち回りで発表を担当します。3年生前期は、それぞれが興味のあるテーマに関連した学術論文の文献紹介を行います。3年生後期以降と4年生は、それぞれの研究内容の進捗を報告し、研究室のメンバーで様々な視点からのディスカッションを行います。
気象学・気候学では様々な物理量(レイヤー)の空間(地理)情報を扱いますので数GB、研究対象によっては数TBの大容量データをさばくことになります。このとき必要となるプログラミングスキルの基礎は3年生前期の「大気科学演習」の授業で学びます。気象学は数学と物理学を基礎として発展してきましたので、いわゆる「理系」の分野になりますが、研究室には高校で物理を履修していなかった方や「文系」の方もいます。
研究室配属となる3年生の早い段階から研究に取り組むことで、本格的な就職活動をする頃には卒業研究の骨格ができており、自信を持って採用プロセスに臨むことができます。また、学会で発表される4年生もおり目標を立てて研究を進めることができます。気象学・気候学を題材としプログラミング技術を培うことで、社会人として必要なデータの整理(見方)・解析(読み方)・可視化(伝え方)のジェネリックスキルの向上を目指します。
□過去の卒業論文タイトル
・兵庫県の日本海側地域におけるフェーン現象の事例解析
・中学校理科における雲の発生過程を学ぶための教育コンテンツの提案
・住環境の視点から見た地域気候の将来変化
・気象庁観測データで見る兵庫県播磨地域の気候特性
・大規模アンサンブル気候予測データベースを用いた梅雨期の将来変化
・領域気象モデルを用いた琵琶湖がもたらす暑熱環境への影響の評価
・領域化学輸送モデルを用いたPM2.5輸送過程の事例解析
・日本における太陽光発電・集中太陽熱発電の地球温暖化による将来変化
・領域気象モデルを用いたため池が周辺地域の気候に与える影響評価の試み
・降水指標でみた土砂災害発生リスクの将来変化
・暑さ指数WBGTでみる大阪の暑さの長期変化傾向
・シベリア森林火災由来レボグルコサンの輸送過程の検証
・1991年19号台風を対象とした大阪における可能最大風速の評価
・伊勢湾台風を想定した台風経路と姫路での風雨との関係
・次世代気象衛星ひまわりでみる大阪市のヒートアイランド現象