2021.01.01 更新

姫路市の離島家島の暮らしとまちづくり(寄稿:中西和也さん)

 

いえしまコンシェルジュの中西和也です。1985年2月28日生まれ。大阪市出身です。
2009年に初めて訪れた姫路市の離島家島に、2011年3月から移住し、島内のものと島外のものをつなげる活動を仕事にしています。

家島について

兵庫県姫路市にある家島諸島は、姫路の沖合18kmに浮かぶ44の島の総称で、そのうち有人島は家島、坊勢島、男鹿島、西島の4島です。

家島には約2500人、坊勢島には約2000人、男鹿島には40人弱、西島には数人が暮らしています。最盛期には、家島諸島には1万人を超える人が暮らしていましたが、地域産業の衰退にあわせて人口も減少してきました。

その地域産業の大きな柱となっていたのが、採石業・海運業です。島内で良質な石材を採掘できることと、大消費地の関西圏に近いというメリットを生かし、古くは大阪城築城のための石を、近年では明石海峡大橋や神戸空港、関西国際空港の基礎となる石材を提供してきました。

島内に農業はなく、漁業よりも大きな産業があるという特殊な島です。家島町は、2006年の合併により姫路市となりました。

 

私の仕事は、島外からのお客さんを案内する観光ガイド、島内で唯一のカフェ「海がみえるカフェ スコット」の運営、島の海産物を使った特産品の企画や販売、島の空き家を活用した移住促進等をしています。

大学では建築や都市農村計画の勉強をしていたので、現在の自分の仕事内容は当時からは想像できないものになっています。大学時代から“まちづくり”に携わりたいという思いは持っていたものの、その形については具体的にイメージできていませんでした。

今、人生を通した社会実験として”まちづくり”の現場に身を置き、地域の課題にあわせて様々な取り組みをしていることに大きな充実感を得ています。

“まちづくり”は、地域に住む人がどのように考え、どのようにしたいかが最も重要だと考えています。

家島の”まちづくり”とコロナ禍の状況

2020年に猛威を振るったコロナウイルス感染症の影響は、近年になって観光業に力を入れているこの家島でも少なくありませんでした。

私自身も観光を仕事にしており、島内には観光業に携わる人も少なからずいます。他方、島内で暮らす多くの人のことを思うと、島外に向けて「来て欲しい」とも「来ないで」とも言えない、なかなかに難しい立場でした。

ただ、私自身は『島の暮らし』を存続させるための手段として観光をしていると自負しています。土台となる『島の暮らし』がなければ観光も成り立ちません。

実際に多数の方と接することとなる観光ガイド事業、運営する「海がみえるカフェ スコット」は4,5,6月と休業しました。あわせて、これまで定期的に行ってきた島外と島内との交流を目的とした人が集うイベントやワークショップも控えざるを得ませんでした。写真や文字だけでは伝わらない島の暮らし、島の人、島の空気感は実際に島を訪れることで伝わることが多いと思っているため、積極的に実施できない今の状況はとても辛いものです。

また、コロナウイルス感染症の影響により島外都市部の飲食店や特産品販売店へ卸している特産品の売り上げも減少しました。

一方で、オンライン移住フェアに参加したり、オンライン婚活イベントを企画するなど、オンライン上の取り組みも増えています。オンライン移住フェアに参加した方がその後、移住するという実績もできました。コロナ禍において地方暮らしに対する関心は高いようで、空き家を活用した移住の問合わせが増加しています。

2019年から本格的にはじめた取り組みですが、2020年12月現在7件の移住をサポートしました。私が2012年から観光ガイドを始めた大きな理由は、島の魅力を知ってもらい、移住者を増やし、島の暮らしを存続させたいと思ったからです。全く成果が上がらず半ば諦めの気持ちを持っていたこともありましたが、大きな成果がでていることをとても嬉しく思っています。

これには、コロナ禍だけではなく、もうひとつ要因があると考えています。

それは、活動を続けてきたことです。

”まちづくり”において重要だと考えること

地域での活動を続けることで、人とのつながりが増えていきます。

人とのつながりが増えると、それまでになかった考え方が増え、人が人を呼び、地域と外部との接点が増えていきます。

その繰り返しで地域に関わる人が増え、島の人が触発されたり、移住する人が現れたりというメカニズムのなかで、主体的に地域に関わる人が増えていくことが重要なのではないかと考えています。

 

私の活動の大きな転機は私と同じように家島の未来を思い、島に暮らしながらまちづくりに取り組むIターン者が現れたことです。2018年に姫路市地域おこし協力隊として神奈川県から伊藤真美さんが赴任してきました。

伊藤さんとは全ての活動を共にしているわけではありませんが、空き家を活用した移住促進の活動について島内地域活動団体のみなさんと共に力をいれて活動しています。島外者としての考え方やものの見方を共有できるという部分で、伊藤さんの存在は私にとって非常に大きいです。

 

また、兵庫県立大学との取り組みもひとつのつながりから始まりました。2015年当時、別の大学におられた太田先生と出会いました。その後に太田先生が兵庫県立大学に赴任することになったことがきっかけです。人とのつながりというのは不思議なものです。私が大学と取り組む意義も、このつながりを増やしたいと考えるからです。

コロナ禍ではなかなか積極的に推進することは難しいですが、兵庫県立大学の学生がもっと家島に入り込み、主体的に関われるようなプロジェクト、例えば大学生が島のシェアハウスに住み、島の小中高校生に勉強を教え、地域行事に参加するなど島内住民と共に暮らすような取り組みができないかと考えています。

大学生が”まちづくり”の現場に身を置くことの意義は太田先生の記事で語られています。『島の暮らし』に主体的に関わる学生が増えることは、家島の”まちづくり”において新たな魅力となることでしょう。

これからも”まちづくり”の現場を楽しみながら活動を続けていきます。

 

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