2020.02.17 更新

ため池の厄介者を追え!

環境人間学部社会デザイン系

准教授 中嶌一憲

環境経済学者と大のカエル好き学生のコラボ

中嶌一憲(なかじまかずのり)です。兵庫県立大学環境人間学部社会デザイン系に所属し、専門は環境経済学です。私自身は、私たちの社会を取り巻く環境問題に対して、その解決策のあり方やその評価、環境の経済的価値の評価について定量的に研究を行っています。例えば、気候変動問題の解決策を考えるとき、金銭的な評価が困難な気候変動の影響を、環境経済学的手法を用いて金銭評価することにより、国や地方自治体が解決策(政策)を立てるための情報提供として役立てることができます。

今回紹介する研究は、兵庫県姫路市内のため池を対象に、水質調査とウシガエルの環境DNA解析を行うことにより、どのような環境的要因がウシガエルの生息量に影響を及ぼすのかを探る研究です。この研究は大のカエル好きである、本研究室の渡邊健太郎さん(執筆当時)が中心となって進めています。また、兵庫県立大学環境人間学部の伊藤雅之先生と、同大学大学院シミュレーション学研究科の土居秀幸先生にも協力いただいています。

 ため池での採水

厄介者のウシガエルの分布を環境DNA解析で捉える

なぜウシガエルを対象としているのか。ウシガエルは北米を原産とする外来種で、日本でも全国的に定着しているため、生態系への影響が懸念されているからです。特に、ウシガエルは肉食性で、口に入る大きさであれば何でも食べるため、在来生物相への悪影響が指摘されています。まさに、ため池の厄介者です。

一方、ウシガエルの生息量調査の方法に捕獲調査がありますが、手間・時間・お金がかかるというデメリットが指摘されているとともに、姫路市におけるウシガエルの生息量調査のデータは乏しいのが現状です。この2つの問題を解決する方法として環境DNA解析があります。これは調査対象とする水域から水を採取し、水中に存在する生物由来のDNA断片の情報を解析することで、対象水域に生息する生物の在不在や生息量を推定する方法です。この技術を用いることによって、姫路市内のため池に生息するウシガエルを調査し、データを収集することができます。

このように、生態系に甚大な被害を与えかねないウシガエルに対して、適切な防除が不可欠であり、それを実行するためには、ウシガエルの生息地を確認することや、生息地の環境要因に基づいたウシガエルの生息予測が必要です。私たちは、ため池の水質調査と環境DNA解析からウシガエルに関するデータを収集し統計解析を行うことによって、ウシガエルの生息環境要因を探っていきます。

 

 ため池の水質調査

 実験室でのろ過

 DNAの抽出

ウシガエルの分布の裏に潜む要因を探る

環境DNA解析からため池の厄介者であるウシガエルの生息する池の分布を明らかにすることは比較的容易です。しかし、その分布がどのような環境要因によるものか?を明らかにすることはそれほど容易ではありません。池の水質形成には地質や地形、富栄養化や農業など人為的な活動などが影響します。将来ウシガエルから姫路市内のため池周辺の生態系を守り、地域本来の生態系を守り続けていくためには、できるだけ多様なデータからこれらの複雑な関係を明らかにしていくことが必要と考えています。もちろん、ウシガエルだけでなく他の外来種に関しても同じ考えを持っています。

なお、水質調査については伊藤雅之先生のHPを、環境DNA解析については土居秀幸先生のHPを参照してください。

 ため池の水抜き

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