2020.02.16 更新

知らないけど、いちばん近い島「家島」の魅力を味わう【後編】

WORDWORK

森 千春

「楽しく生きや!」家島のお母さんから受け継ぎたい、味と生きざま。

前編はこちらから

ゼミ生のみんな、『カフェいえしま』オープン直前まで、プレゼン資料のチェックや配布物の作成に追われておりました(この状況…仕事柄、他人事とは思えず私もドキドキしておりました…)。その中で目に止まったのが『旅のしおり』です。予算3,000円で楽しめる家島の旅の案内で、姫路港や家島港を出る高速船の時刻表、家島全体の地図、おすすめのビュースポットやご飯屋さん、磯臭くない港や道路もバイクがいっぱいといった「家島あるある」的な要素もピックアップしながら、家島を一日満喫するための観光タイムスケジュールを紹介。企画したイベントを盛況で終わらせることも一つの目的ですが、いちばんの目的である「家島を知ってほしい、家島に行ってほしい」という部分で、この1冊は小さくても大きな存在だと思います。時刻表以外のページは、すべて手書き文字と手描きのイラストなので、読みたくなるし、読みやすい。構成もシンプルでわかりやすく、カフェに来られたお客さんにも好評でした。

 

『カフェいえしま』で提供された「家島ほっこりランチ」を実際に作ったのは、兵庫県立大学 食環境栄養過程で管理栄養士を目指す学生達で構成する団体「DEN」。家島を訪れ、地元のお母さんたちから教わった料理を再現したものでした。大学の講義で、書面になったレシピの再現やアレンジに慣れている彼女たちも、「砂糖はドバーっと」とか「ここで醤油をジャー!」とか、擬音と目分量で教わるおふくろの味のレシピ化にはけっこう苦労したとか。そう言いながらも、表情はどこか楽しそうです。

「実際に試食させてもらって、私たちがすごく美味しいと思ったものをメニューにしました。いろいろ教えてもらったので、美味しいと思ってもらえる料理を作って、家島の人たちに恩返ししたいです」そう語ってくれたのは、DEN代表の荒川紗季さん。家島に訪れるまで、自分たちの母親より上の世代の人たちと接することはなかなかなかったといいます。とにかく元気でパワフルな、家島のお母さんたちとの出会いは、とても刺激になったそうです。

「楽しく生きや!と言われたことが心に残っています。島のお母さんはみんなポジティブ。私もそういう生き方がしたい、年の取り方をしたいな」(荒川さん)。

移住者の声とともに。家島の母の味を味わう1時間。

12月7日(土)『カフェいえしま』オープン初日。開店10分前から予約客が次々と訪れています。この日は、学生や大学関係者のほか、家島高校関係者、新聞で知ったという50代、60代の姿が見受けられました。イベントのオープニングは、姫路市地域おこし協力隊として、2018年から家島で活動する伊藤真美さんによるプレゼンテーション。神奈川で取材やwebデザインの仕事に携わっていた伊藤さんは、場所を変えてもできる仕事の特性を生かし、瀬戸内国際芸術祭で存在を知った家島での地域おこし活動に応募したそう。この日も、島外に転任する教諭を送り出す『離任式』や、島から島へと泳いで渡る『オープンウォータースイミング大会』など、独自のイベントを通して家島のユニークな文化を紹介されました。また、元気で結束力の強い地元の人々、島外からの訪問者への面倒見の良さなど、伊藤さんが体感した地域性についても触れ、協力隊の任期終了後も家島に住み続けるつもりだと、語っていました。

続いて、兵庫県立大学 環境人間学部3回生『家島活性化プロジェクト』のメンバーが、『カフェいえしま』実現までの経緯を説明。計4回来島し、調査分析を重ねた紆余曲折とともに、初めて自分たちの手で何かを企画し、運営する不安や手応えなど、進行中のメンバーのメンタルをグラフ化とともに発表するという、学生的な視点で説明を続けます。

2組のプレゼンテーションが終わると、できたてのランチが登場。家島活性化プロジェクトやDENのメンバーが家島の住民とともに、このイベントのためだけにつくったワンプレートランチの名前は『家島ほっこりランチ』。地元の方々によって下処理された魚が早朝に届き、DENのスタッフがランチタイムにあわせて調理。青い海と空に包まれた家島のプロモーションビデオを見ながら、参加者全員で家島の味を堪能しました。

地元のお母さんたちと考えた「家島ほっこりランチ」¥1,000

・魚の南蛮漬け:おかあさんたち直伝の味付け

・鯛そうめん:茹でたそうめんに、鯛の煮汁とほぐした鯛の身をのせた家島の伝統料理。

・のりっこサラダ:家島産の佃煮「のりっこ」をドレッシングに使用。さらに、家島産しらすを炒めてトッピング。

・すまし汁:しらすとのりを使用

・みたらし団子:みたらし餡に、家島の醤油を使用。

「カフェいえしま」を利用した人々の声

  • 新聞を見て参加した60代男性(姫路市)

「家島には年2~3回行っている。(カフェの)前日も家島に行っていたが、その宴会で出された料理よりも美味しかった。「鯛そうめん」が名物とは知らなかった。手づくりのしおりは、すごくおもしろい。大学構内に掲示されている「家島だより」も閲覧できるようにしてほしい」

  • 神戸新聞のwebサイトをみて応募した夫婦(高砂市)

「家島は昔、両親によく連れて行ってもらった場所。若い人たちがどんな料理を作るのか楽しみにしていたが、普通なら高級な魚(鯛)が出てきて驚いた。とくに、鯛そうめんのだし汁はご飯にかけたいくらい美味しかった。みたらし団子の甘みもしつこくなくて、どれもいい味付けだった」。

  • 神戸から訪れた高校生と教員(神戸商業高校)

「担当教諭が家島出身で、3年生の課題研究で家島の地域創生調査を行っている。南蛮漬けや鯛そうめんが美味しかった。プロジェクトの発表も、とくに間の取り方が参考になった」。

『家島活性化プロジェクト』のサポートメンバー

  • アドバイザーいえしまコンシェルジュ 中西和也さん

「楽しそう、面白そう」と感じることを、学生ならではの発信方法で、彼らにしか届けられないターゲットに向けて発信してほしい」。

  • 地域おこし協力隊 伊藤真美さん

「家島は、若い人の結束力が強いし、勢いがあって元気な人が多い。私も家島に来た当日に、ガット船に載せてもらうなど、島の外から来る人にも抵抗なく接してくれたことが印象的だった。幼稚園から高校まで島内にあるし、活性の可能性がある島だと思う」。

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