2022.03.10 更新

2021年度学内報告会を開催しました。

 

本ウェブマガジン「くらすペディア」は、地域における暮らしや環境に関わる取り組みやこれから大切になる考え方を発信していくメディアですが、これは本学部の共同プロジェクト「多様性・学際的視点からの地域支援とその知財化~コロナ禍でのくらし×らしさのデザインプロジェクト~」の一環で運営されています。2022年2月16日、年度末報告会が開催されました。この記事ではそこで報告された内容を簡単に紹介していきます。

井上靖子「コロナ禍におけるいのちの電話相談活動の意義と課題~継続研修から見えるもの~」

日本の自殺者数は、2020年は前年に比べ4.5%増で、先進7ケ国最も高く、コロナ禍において有職女性、学生や生徒の増加率が高く、著名人の自殺報道後に増加するという特徴が見られました。自殺予防の観点から紹介されるのがいのちの電話相談活動です。そこで相談員の継続研修を通して見える活動の意義や課題等を検討しました。

研修では失職、希死念慮を伴う精神疾患、長期引きこもりの事例が取り挙げられ、共感のみならず、具体的な生活像を聴き取ることの大切さ、また頻回電話、暴言を受ける相談員のメンタルケアの必要性が明らかになりました。相談員らの活動に対する真摯な姿勢に支えられ、希死念慮を訴えていた人が生きる力を回復する事例も見られ、人と繋がれる電話相談の意義は大きいと考えられました。今後、高齢化や担い手不足があり、広報活動、長期的視点での相談員の育成、相談員同士の支え合いの場が必要とされています。

井上靖子 教授

 

森寿仁「コロナ禍の女子大学生の体力と生活習慣の関係」

20歳前後は一生涯の中で最も体力が高い時期であり,加齢とともに低下することは誰もが知っています(体感している人も多いと思います).当然,体力を維持することは大事ですが,その先の低下を見据えて体力の最高値が高いことも同じように重要です.コロナ禍で活動が制限される中で女子大学生の体力がどのようなレベルにあるのか,どのような女子学生の体力が高いのか(低いのか)を調査しました.

女子大学生21名を対象に体力測定(脚筋力測定やバランス測定など),身体組成測定(体脂肪率,骨格筋量)と生活習慣に関するアンケート調査を行いました.その結果,先行研究と比較して筋力レベルは変わらないものの,バランス能力が低い傾向にありました.すなわち,将来の転倒リスクが高くなる可能性があります.また,体力レベルと生活習慣には関連は認められませんでしたが,20歳前後でも骨格筋量が低い者では体力が低い傾向にあり,若年期から無理なダイエットはせず,筋肉量を高めておくことが重要であることが明らかになりました.今後は,食生活なども詳細に検討し,将来のより良いくらしのために大学生としてできることは何なのか,さらに調査を進めていきたいと思います.

森 寿仁 講師

 

太田尚孝「コロナ禍×学生 おうち時間応援プロジェクト」

コロナ禍で学生が自宅や自室にいる時間も長くなる中で、より快適に過ごせるようなアイデアが必要とされています。しかし、学生街がない環境人間学部にとって、学生がどのように一人暮らしをしているのか知る機会は実はあまりありません。学生が自分たちの暮らしを見つめなおすことで、人と環境のあり方について考えてもらうきっかけとして、都市計画研究室の3年生5名が前期の「専門ゼミナール」の枠組みで環境人間学部生向けのリアルな住まい方やアイデアをまとめた冊子(KANKYO STYLE)を作成しました。学生が自ら取材企画やレイアウト案を考えたうえで、デザイン会社や大学生協とのコラボし、冊子を完成させました。冊子は学生に配布するとともに、環境人間学フォーラムでプレゼンしました。

KANKYOSTYLE

学生のリアルな生活や住まい方がわかり、かつデザイン性も高いことから、学部の広報の一つとしても活用できると考えられます。他方、プロトタイプとして「住まい」を取り上げましたが、環境人間学部の専門性を考えると、食やスポーツ等にも着目して別バージョンをつくっていくことも有益ではないでしょうか。

太田尚孝 准教授

 

杉山武志「コロナ禍における西脇市茜が丘複合施設Miraie魅力づくりプロジェクト」

本プロジェクトでは、コロナ禍における若い世代の生活支援、子育て支援の方向性について、こどもプラザ、男女共同参画センター、図書館、コミュニティセンターの機能をもつ西脇市茜が丘複合施設Miraieを起点に政策提言することを目的としました。ゼミ生たちはワークショップを通じて、「コロナ禍でもできること」「ポストコロナで実施できること」を実施難易度別に整頓し、西脇市側に44項目の提案を行いました。

こだわったのは、環境人間学部“らしさ”の探究です。私たちの研究室の専門である人文地理学だけでなく、福祉社会学を専門とする竹端寛准教授の著書『「当たり前」をひっくり返す』からもインスピレーションを得ています。その結果、コロナ禍で沈滞する現状を打破しうる生活支援、子育て支援の発想転換を促すきっかけの提言につながったのではないかと考えています。

杉山 武志 准教授

 

井関崇博「地域と大学の連携による文化のプロモーション~姫路城下鳥瞰絵図展の開催」

地域の文化環境を充実させていくためには、古い文化を守ること、新しい文化を生み出すことだけでなく、それらを広めることも重要な課題です。本研究室では、播磨学研究所(志賀咲穂所長)が鳥観図絵師の青山大介氏とともに企画・制作した「令和の姫路城下鳥瞰絵図2021」を多くの人に知ってもらい、その価値をかみしめてもらうために、「姫路城下巨大鳥瞰絵図展」を開催しました。これは実物でいえばA0サイズの元図を、7.5×6.2メートルに拡大して印刷し(B0サイズ36枚)、講堂の床に展示した上で、ビニールシートで覆うことでその上を歩いて体験してもらえるようにするというイベントです。イベントでは青山氏、志賀氏のトークの他、パネル展示や映像の放映、さらに、制作体験コーナーも設けました。事前にウェブサイトやSNSで発信し、チラシを各所に配布、さらに、神戸新聞に働きかけ写真つきの記事にしてもらうことに成功したため、非常に多くの来場者をえてイベントは成功を収めました。

文化のプロモーションにおいては文化の創造者や所有者と、それに新たなアイディアを加えてより面白く活用する者とが信頼関係を築き、それぞれが独自のクリエイティビティを発揮していくことが重要だと実感するイベントとなりました。

井関 崇博 准教授

 

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